30代の頃婦人科のがんがわかり、子宮・卵巣・卵管の切除術をすることになりました。
手術をすることは、子供が産めなくなることを意味し、当時は独身でまだ子供が産める年齢だっただけに、さすがに悩みました。
かなり早期で発見され手術のみの治療で終わりそうでしたし、手術が終われば今ある症状から解放され、楽になると思い手術することを決めました。
医療職をしていた私は、病気についても症状についてもわかったつもりになっていたのです。
そうです、わかっているつもりだったのです。
手術後はがんの最新治療を受け定期的な通院と、卵巣を取ったことで現れる卵巣欠落症状。
更年期と同じような症状がでても、ホルモン剤が使えず我慢するしかありませんでした。
そして、病気を知った人たちからは、「かわいそう」の言葉の嵐でした。
子供が産めないこと、がんになったこと、若くして更年期症状があることに対する憐れみです。
さらには、子宮筋腫のような良性の腫瘍と比べられ、「私も大丈夫だったから、あなたも大丈夫」という意味不明な慰めまで。
がんは治る時代といわれていますが、それでもなった人にしかわからない恐怖や不安があります。
言葉ひとつで元気になりますが、深く傷つくこともあります。
経験していないことをわかったふりして話をしてはいけないなと、心の底から感じた経験でした。